時代が求めた「スマイルコットン」
スマイルコットンを最初に発表した昭和48年(1973年)ごろは、日本の繊維業界にとって苦しい時代でした。日米間の繊維製品をめぐる貿易摩擦で輸出量は制限され、のちにオイルショックで国内需要は低下。その後も、安価な輸入素材や化学繊維が台頭し、「スマイルコットン」はなかなか日の目をみる機会はありませんでした。地道に販路を求めながら、改良を繰り返し、天然素材のよさを生かして極限までやわらかく、ストレスフリーにした「スマイルコットン」は、いつか品質のよさが認められ、多くの人に必要とされると信じていたのです。
「これからの時代は生地だけをつくっていても認めてもらえない。『スマイルコットン』のよさを知ってもらうためには、製品としてカタチにする必要がある」。そう考えた社長・片山卓夫は「スマイルコットン」として生地をブランド化し、ベビー向け製品やアンダーウェアをつくり、販売会社も立ち上げ、平成15年、東京で開催された生地の展示会「ジャパンクリエイション」に出展すると、大手デパートのバイヤーの目に留まり取引が始まりました。その後、日本アトピー協会から推薦品として認定を受けるなど、スマイルコットンは徐々にそのよさが認知されるようになりました。